さく旅

あちこち行きたくてチョロい私の旅行記

熱海・伊豆稲取旅行記6 絶景のMOA美術館

伊豆稲取から電車に乗り、再び熱海を目指します。緑深い山々に、古びたトタン屋根のホーム。正しい夏休みの風景。

少ししてやってきたのは、下田~熱海間を結ぶ「黒船電車」。下田が日本初の国際貿易港として開港したことにちなんだ特別列車、とはいえ普通運賃で乗車出来ます。

f:id:sa00ku:20181029092600j:plain

普通の観光列車風の車内、車窓からの景色は上々。好天も相まって一層すがすがしい。

 

小一時間電車に揺られ、熱海駅に到着。そこからさらにタクシーに乗り継ぎ、高台を目指す。

くねくねとした坂道を上り、降り立ったのは、MOA美術館

岡田茂吉が創設した私立美術館で、個人所蔵のコレクションを中心に数多くの作品が並ぶ。2017年に大々的にリニューアルされました。

なんといってもこちら、館内と景観が素晴らしいのです。

チケットを手に入口をくぐるとすぐにエスカレーターが。怪しげにライトアップされている。

一度降りてまた乗り継ぐ。

そして最上階の踊り場へ。と、天井いっぱいにこんな映像が投影。いやいや圧巻…万華鏡のようにすこしずつ変化していく仕組み。幻想的なBGMも流れていて、思わず息をのむ。ぐるりと囲むようにベンチが配置され、寝そべってぼーっとすることもできます。が、そのお楽しみは後に取っておくことに。そのまま道なりに進み、屋外へ。

どどん。すげえ。広がるのはこんな景色。思わず口が悪くなるほどの解放感。この日は本当に暑くて暑くて、突き抜ける晴天が辛いくらいだったのですが、この景色を前に文句は言うまい。青、緑、白。

f:id:sa00ku:20181029095211j:plain

海側から振り返るとこんな感じ。後ろの建物が美術館です。

階段の上から。建物が額縁のようになって、またいい感じ。ああ来てよかった。

とはいえ暑さには敵わないので、そそくさと再び館内へ。

重厚な扉をくぐると、またもこんな絶景。山の手も素晴らしい。映り込みも良い。どこをとっても絵になるのがMOA美術館の魅力。

それに加え、この開放感と人のまばらさ。都心の美術館にはなかなかない。ぐいぐいと心が浄化されていく。非日常で、誰にも邪魔されない時間と空間を噛みしめる。なんという贅沢。

 

空間のすばらしさを存分に味わった後は、作品をみてまわります。


紅白梅図屏風グラフ『びじゅチューン!』

代表的な所蔵品は、尾形光琳の「紅白梅図屏風」。びじゅチューン!でもモチーフとして取り上げられていたり。実物は国宝につき、年に一度、梅の時期にだけ公開される。

普段展示されているのはこちら、リニューアルの監修をつとめた写真家の杉本博司さんが「もしこの梅を月明かりの下で見たら?」というテーマで作られた「月下紅白梅図」。不気味でいて涼やか、立ち止まってじっと眺めてしまいました。

この日は特別展「琳派ー光悦と光琳」の開催期間中。

小袖や、

絵皿や、

掛け軸など。

誰の何とか全く覚えてないのが申し訳ないですが、細かく美しく。じっと見つめたり、ぼんやりと眺めたりしてまわりました。

MOAは全面撮影OKなうえ、ケースには映り込みの少ないガラスを採用している懐の深さ。その証拠に、我々の前を歩いていたおばちゃまが作品に近づこうとしてナチュラルに激突するという冗談みたいな出来事が。上に載せた写真も、屏風以外はすべてガラス越しです。とことんまでお客さんのことを考えて作られている。

ちなみに創設者の岡田茂吉は宗教団体の教祖ですが、素人目にそういうカラーは一切感じません。ただただ価値ある美しいものが並んでいる上に、眺めもいい。えっちらと山道を登って来て本当に良かったです。

 

こうして作品を見終わり、ミュージアムショップを眺めた後、併設の日本庭園へ。こちらもいい雰囲気。日陰は涼しいので、少し歩いて回ることに。

庭園には数軒のお茶屋さんが。休憩がてら、我々は「一白庵」へ。

ちゃんとしたお茶室なんて久しぶりで、ほのかに緊張しつつ窓際の席に通される。

目の前はこんな感じ。おお…散々いい景色を見てきたけれど、懲りずにため息が出る。

彼は抹茶と羊羹

私は煎茶と干菓子を。懐紙もお菓子もかわいい。しっとりとした挟み煎餅に、透き通ったブルーの琥珀糖、どちらも上品な甘さでお茶にぴったり。何よりお茶美味しいわ…眺めとともに、目も口も満たされたひとときでした。

そうして再び万華鏡の踊り場へ。今度はベンチで寝そべってしばしの虚無。ぬらりとした、無為かつ有益な時間が貴重でたまらない。脳みそが溶けきったところでそろそろお暇する時間に。

温泉に引き続き、抱えきれないほどの満足感を得て、さわやかに美術館を後にしたのでした。高台にそびえる、中も外も魅力的なスポット。柵の多い日常をほどいて、身ひとつになりたいときにはぴったりだと思います。季節ごとに見せる雰囲気が変わりそうな予感がするので、夏以外の時期に再訪したいです。

というわけで旅も終盤に差し掛かりました。続きます。

 

★熱海・伊豆稲取旅行記の目次はこちら 

www.sakutabi.site